アフリカの最高峰、キリマンジャロ山を望む高原に位置する、タンザニア第二の都市アルーシャ。
その近郊にあるパンガタ村には、特別な意味を持つ学校、「さくら女子中学校」があります。
2016年に開校した「さくら女子中学校」は、地域の女性教育に新たな希望をもたらしました。
その設立に尽力したのは、地元出身のフリーダ・トミト女史です。
フリーダさんは1959年、タンザニアのバンガタ村で生まれました。
彼女の父は牧師で、家族はその地で生活していました。
1983年、フリーダさんの父は牧師としての研修のため、アメリカに渡りました。
初めて目にしたアメリカの物質的な豊かさに驚きつつも、父が最も心を打たれたのは、その国の教育の重要性でした。
帰国後、フリーダさんの父はアメリカの友人から提案を受けます。
「あなたの子供を一人、アメリカに留学させてはどうか?」
この提案で選ばれたのは、意外にもフリーダさんでした。
当時、タンザニアでは「女の子に教育は必要ない」という考えが根強かったため、この決断は驚くべきものでした。
フリーダさんは、父の意を受けてアメリカへ渡り、そこで学びました。
その経験が、彼女に「理系女子を育成する」という強い理想を抱かせ、地元タンザニアに戻った後、ついに「さくら女子中学校」を設立するに至ったのです。
(続く)